©2019 by NOURISH JAPAN LLC.

 
検索
  • 泉谷 道子 Michiko Izumitani

FRESH! サイエンス ソーシャルメディアと10代のメンタルヘルス


感染症拡大の影響で自宅で過ごすことが増えた子どもたち。


彼・彼女たちがインスタグラムやTwitterなどのソーシャルメディアで過ごす時間の長さや頻度に気をもんでいる親御さんも少なくないと思います。


そんな方に、ソーシャルメディアとティーンのメンタルヘルスに関する最近の研究結果をご紹介。


ずばり、「悪いのはソーシャルメディアだけではない」というお話。




「悪いのは」といきなり書いてしまいましたが、確かにこれまでの研究では、ソーシャルメディアが10代のメンタルヘルスに悪影響を与えることが明らかにされてきました。 しかし、それら過去の研究は一時的または断片的であるとして、イギリスの研究者たちが9年生(13歳―14歳)の子どもたち13,000人を対象に、3年間に渡る調査を実施しました。 この調査では、子どもたちの学校生活や家庭生活について調べ、それらの結果と、ソーシャルメディアの使用頻度を比較しています。


対象になったメディアはインスタグラムとスナップチャットです。 実はこの2つ、2018年に公表されたイギリスの王立公衆衛生協会の研究で、Youtube、Twitter、Facebookといった他のメディアと比較した場合、FoMO(「何かを見逃してしまうことへの不安、取り残されることへの不安」)、自己の外見に対する劣等感、睡眠不足などの悪影響を与える傾向が高いこと明らかになっています。 確かにスナップチャットやインスタグラムはベストな瞬間だけを切り取るには最適で、他のメディアに比べて加工もしやすいことから、受け取る側の過剰な想像も入り込み、閲覧に苦心する現状があるかもしれません。 では、今回の研究では何が明らかになったのでしょう。

まず、3年間の調査で、年齢が上がるごとにソーシャルメディアの使用頻度は増えていました。 具体的には、9年生の時、ソーシャルメディアを1日3回以上チェックする子どもは43%でしたが、11年生になると、男子で68%、女子は75%に増えていました。そして、それと同時に、不安や不幸せな気持ちの高まりが確認されました。 そこで、研究者らがより深くデータを分析してみたところ、女子が抱く不幸せ感と不安は、睡眠不足、運動不足、そしていじめに強く関連していることが分かりました。 逆に言うと、8時間以上の睡眠と適度な運動が習慣づいていて、いじめに合っていない場合、ソーシャルメディアの多用はメンタルにマイナスな影響をもたらしていなかったのです。 一方、男子の場合は不幸せ感・不安と、睡眠・運動・いじめの明確な関連は確認できなかったとのこと。男子の場合、女子よりもソーシャルメディアへの依存度が低く、身体を動かすことも多いことが結果の違いに影響しているのではないかと、研究者は言及しています。 これらの結果を踏まえて「ちょっと携帯に依存し過ぎじゃない?」と感じる子どもたちにどうアドバイスするか。 ここからは私の意見です。

正直、ティーンにアドバイスって難しいです。 親の話より、仲間やyoutuberの言ってることの方が断然影響力がある世代です。

そこで、もしもお子さんがソーシャルメディア疲れしているように見えたら、アドバイスというより、これを機に一緒にネット時間の棚卸をしてみてはどうでしょう。

ネットを用いて行っている活動すべてを書き出して、それぞれの目的を記していくのです。文字化することによって不要で、マイナスにはたらいている使用方法を明確にすることができます。

「ねえねえ、お母さんネット使い過ぎかなって思ってるんだけど、一緒にネット時間の棚卸してみない?」って、自分の悩みを相談するみたいに声をかけるとスッと耳を傾けてくれるかもしれません。 不要な時間のボリュームが把握できたら、その時間を使って一緒に外出したり、お料理したりするのもいいですね。 棚卸の具体的な手順は以下をご参照ください: 「ポリシーのあるSNSユーザーになろう あなたにとっての価値あるSNS使用法」ってん


出典:

R.M. Viner et al. Roles of cyberbullying, sleep, and physical activity in mediating the effects of social media use on mental health and wellbeing among young people in England: A secondary analysis of longitudinal data. The Lancet Child & Adolescent Health. Vol. 3, October 1, 2019, p. 685. doi: 10.1016/S2352-4642(19)30186-5.

43回の閲覧