FRESH!サイエンス 他者のクリエイティブに振りまわされない。パンデミックがもたらす長い旅に備える3つのステップ

最終更新: 4月2日

新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、自主隔離や外出の自粛が世界に広がっています。

それに伴いSNSでは音楽演奏やおかし作りなど、人々によるクリエイティブな取り組みがシェアされ、それらは閲覧する私たちを楽しませ、時には不安を和らげてくれます。

一方で、他者の充実した「隔離生活」ぶりや、様々な制限をものともしない生産的な活躍を目の当たりにして、焦りや劣等感を感じる人がいるのも事実でしょう。

そこで今日は「高等教育クロニクル」という高等教育専門誌のサイトに掲載された「Why You Should Ignore All That Coronavirus-Inspired Productivity Pressure (なぜコロナウィルスに触発された一連の「生産性プレッシャー」を無視するべきか)」をご紹介します。

この記事の著者はトロント大学准教授のAisha Ahmad氏です。


          *Aisha Ahmad氏 トロント大学ウェブサイトより


Ahmad氏の専門は政治学。詳細なフィールドワークを通じて、アフガニスタン、パキスタン、ソマリア、マリ、イラクにおけるイスラム教勢力の問題やそれらの経済的要因を調査し、影響力のある学術論文を多数発表しています。また、2017年にOxford University Pressから出版された著書「Jihad&Co .: Black Markets and Islamist Power」は、2018年にカナダ政治学会によって比較政治学のベストブックに選ばれています。

Ahmad氏はこれまでの研究活動の中で、紛争、災害、監禁、貧困、食糧難、感染症等、様々な苦難に直面してきました。それらの経験を踏まえ、本稿では、今回のパンデミックをどう受け入れ、これから長く続く、大きな変化の旅にいかに段階的に備えて行くべきか、私たちにアドバイスしています。


以下、3つのステップです:

1. 心と身体の安全を第一に(インフラを整備すべき時)


非常事態の最初のステージでは、気持ちが沈み、不安を感じることが「正常」です。状況に馴染むには時間がかかるものだと、割り切ることが必要です。あれこれ思いを巡らすことをやめ、食事、家族、友人、そして身体に気持ちを向けましょう。

そして、SNSに投稿される人々のクリエイティブな活動に惑わされず、やるべきことをちゃんとやっている輝かしい知人の報告も流します。

何も手がつかず、不安のあまり夜中に目を覚ましてしまう自分も受け入れましょう。

このパンデミックの影響は残念ながら長引くことが予想されています。ウィルス感染の問題が解決されても、経済の低迷などにより、様々な困難が私たちにのしかかってくる恐れがあります。

そのため、この時期に優先すべきは、家族、友人、隣人などとの関係性を深め(物理的距離に配慮しながら)、長い決して楽ではないこれからの旅を一緒に乗り越えていくチーム作りに向けて、心理的インフラ整備をすることなのです。

こんなことは取り越し苦労かもしれません。

そうだとしても価値のある時間になるでしょう。

ステップ2:意識のシフト


自分自身と大事な人々の安全が確保され心が安定してくると、何かにチャレンジしたくなる気持ちが湧いてくるかもしれません。しかし、慌てて何かを宣言し、目標を打ち立てる必要はありません。

このパンデミックという惨事に脳が適応するには、思いの外時間がかかります。内面の変化は複雑です。怒り、思いやり、希望、失望等、浮かんでくる様々な感情や想いを受け止め、これまでの物事の考え方や外界の捉え方が変化するプロセスを実感しましょう。するとやがて新しい大胆な発想を受け入れる勇気が湧いてきます。

Stage 3.:新しい「正常」を抱きしめよう


基盤ができたらいよいよ活動を始めます。「ホーム」の安全を最優先に、1日の時間を区切り、仕事、家事、オンラインヨガなどの予定を入れていきます。最初は簡単な作業から始めます。

やがて新しい環境での新しい動き方は自然になり、これまで状況を否定し、ただ世の中が元どおりなることを願っていたときには生まれてなかった考え方が生まれ始めます。

ただこれはマラソンです。ですから飛ばしすぎないことです。周りの「ランナー」に勝つことに意味はなく、彼/彼女らの素晴らしい活動はノイズに過ぎないと捉えることが大切なのです。

新しい旅を自分なりのペースで、心地よく進めるようになった時、気がつけば新しいレシピで料理を作り、出会うはずのなかった人と出会い、新たなプロジェクトに取り組んでいる自分がそこにいるでしょう。

_____________


以上、Aisha Ahmad氏のメッセージを私なりにまとめてみました。


ポイントは、

まずは心と身体の安全を第一に(インフラを整備すべき時)。

そして意識のシフトが自然に起こるのを待ち、徐々に行動を起こしていく。

私の場合、今はインフラ整備の真っ最中というところでしょうか。とにかく日々のルーティンに意識的になり、丁寧な食事と家族とのゆっくりした時間を味わっています。

55回の閲覧

©2019 by NOURISH JAPAN LLC.